JPA2020 大会準備委員会企画シンポジウムで話題提供をしました
2020年度の日本心理学会大会の大会準備委員会企画シンポジウムにて話題提供をしてきました。私は道徳基盤理論に基づいてこれまでに行ってきた研究を話題提供者として紹介しました。異なる専門分野の先生方とご一緒でき、大変貴重な機会でした。大会準備委員会の皆さま、ならびにオンラインシンポジウムに参加してくださった皆様、ありがとうございました。
新しいモラル・サイコロジーへ:進化,発達,社会の観点から
企画代表者,司会者 北村 英哉(東洋大学)
企画者,話題提供者 清水 由紀(早稲田大学)
話題提供者 村山 綾(近畿大学)
話題提供者 山本 真也(京都大学)
指定討論者 唐沢 穣(名古屋大学)
(概要) 人の道徳性に関する実証研究は,近年,その対象や分野を拡げながら新たな展開を見せている。多様な社会問題の背景にある直観的かつ複雑な道徳的判断の構造について,道徳基盤理論に基づく研究が精力的になされる一方で,よりプリミティブで普遍的な道徳判断が発達のごく早期に見られることが報告されている。さらには,進化的に近縁である霊長類を対象とした研究により,ヒト社会において見られる道徳的性質の進化的起源について解明が試みられている。これらの各分野での研究の進展は目覚ましいが,しかし知見が互いに統合されることなく別個になされてきている感が否めない。そこで本シンポジウムでは,まず近年特に知見が積み重ねられつつある,社会心理学,発達心理学,比較認知科学の各分野におけるモラル研究の最前線について紹介する。その上で,これらの多様なアプローチによる研究の知見を統合したときに,人の道徳性の本質,つまり「ヒトらしさ」についてどのような新たな視座を得られるのかについて議論したい。