日本社会心理学会で発表してきました
7月26日、27日に北海道大学で開催された日本社会心理学会第55回大会にて、以下のタイトルでポスター発表してきました。
「幸運を得た人の道徳的価値と内在的公正推論」
(発表原稿はこちらからダウンロードできます)
われわれは、ニュースや新聞を通して他者の不運や幸運を目にすることがあります。今回は、たまたま幸運を手にした人に対して、われわれがどのように反応するのかという点について、その人が「良い人」か「悪い人」か実験的な操作を加えて検討しました。
結果を大まかに説明すると、人は、仕事に熱心で周囲からの人望もある人が幸運(たまたま購入したロトくじが当たる)を得ると「その人が良い人だから宝くじに当選した」と 推論(これが内在的公正推論にあたります)する一方で、過去に犯罪(今回は窃盗)を犯した人が同じ幸運を得ると、その幸運のせいで将来悪いことが起こるこ とを予期(これは究極的公正予期と定義しています)する、というものでした。幸運や不運とその人の過去の道徳的な価値(良い人か悪い人か)は、本来全く関係ないことなのですが、このような推論や予期 を通して「人はその人にふさわしいものを手にしているし、手にするべきである」というような信念を維持しようとしたり、「頑張った人が報われる(≒悪い人 には罰がくだる)社会」への欲求を満たそうとする、という結果です。
このような信念や欲求は、公正世界信念、公正世界欲求と定義され検討が進められています。引き続きこれらについて検討していく予定です。
本研究結果に質問等ある方は、murayama(at)kwansei.ac.jpまでご連絡ください。