1.集団(チーム)内の葛藤と対処行動

私たちは集団で話し合いをして何か一つの結論を導かなければならないという活動に日々参加しています。
はじめからおわりまでスムーズに話し合いが進めばいいですが、時に意見の対立や他のメンバーとの仲たがいが起こります。
そういう「集団内でのいざこざ」を、私たちがどのように知覚し、対処しようとするのか、また集団の客観的・主観的パフォーマンス向上のために有効な状況要因について、質問紙調査・実験室実験から明らかにしようとしています。

関連論文

  1. Murayama, A., Ryan, C. S., Shimizu, H., Kurebayashi, K., & Miura, A. (2015). Cultural Differences in Perceptions of Intragroup Conflict and Preferred Conflict-Management Behavior: A Scenario ExperimentJournal of Cross-Cultural Psychology, 46, 88-100.
  2. 村山 綾・三浦麻子 (2014). 集団討議における葛藤と主観的パフォーマンス-マルチレベル分析による検討-. 実験社会心理学研究, 53, 81-92. (2014年日本グループ・ダイナミックス学会優秀論文賞受賞)
  3. 村山 綾・三浦麻子(2012) 集団内の関係葛藤と課題葛藤: 誤認知の問題と対処行動に関する検討 社会心理学研究28(1), 51-59.
  4. 村山 綾・大坊郁夫 (2008) 上司のリーダーシップ機能、作業チーム内の葛藤、および対処行動の影響過程に関する検討 応用心理学研究, 33,

2.専門家-非専門家の合意形成過程

2009 年5月から施行された裁判員制度では、一般市民が専門家である裁判官と同じ話し合いの場に立ち、お互いが納得する結論を導き出すことが求められています。 裁判に関する知識や経験において両者に大きな差があることは自明であり、評議における非専門家の発言内容や行動は、たとえ彼ら自身や制度がそれを意図して いなかったとしても、専門家から多大な影響を受けることが予測されます。その影響過程について、言語行動・非言語行動の詳細な分析から明らかにしようとし ています。現行の裁判員制度の導入理由である「裁判への民意の反映」や「裁判や司法への信頼性の向上」を達成する制度運用を実現するための、より良い評議 コミュニケーションデザインを提言することを目指します。

関連論文

  1. 村山綾・三浦麻子 (2015). 裁判員は何を参照し、何によって満足するのか‐専門家-非専門家による評議コミュニケーション‐. 法と心理,15,89-98.
  2. 村山 綾・今里詩・三浦麻子(2012) 評議における法専門家の意見が非専門家の判断に及ぼす影響-判断の変化および確信度に注目して‐ 法と心理12(1), 35-44.

3.一般市民の法的判断過程

裁判員制度の評議は、裁判官3名と裁判員6名の合計9名で行われます。一般的に初期多数派の意見が集団決定を強く予測することを踏まえると、評議において (数の上では)多数派となる一般市民が評議前に形成する法的判断の特徴を明らかにすることは重要な研究テーマであると考えられます。この点について、質問 紙調査や実験室実験から検討を進めています。法的判断に関連する可能性のある個人特性としては、批判的思考態度、公正世界信念、道徳感情を想定していま す。

関連論文

  1. 村山綾・三浦麻子(2015). 非専門家の法的判断に影響を及ぼす要因-道徳基盤・嫌悪感情・エラー管理に基づく検討-. 認知科学, 22(3), 426-436.
  2. 村山綾・三浦麻子(2015). 被害者非難と加害者の非人間化ー2種類の公正世界信念との関連ー. 心理学研究,86, 1-9.
  3. 村山 綾・三浦麻子 (2013). 有罪・無罪判断と批判的思考態度との関連–テキストデータを用いた分析から-.  法と心理13(1), 24-33. 120-127