集団内の葛藤と対処行動、専門家-非専門家の合意形成過程、非専門家による法的判断について、社会心理学的に研究しています。

Email: murayama(at)intl.kindai.ac.jp

APA2013で発表してきました

7/31-8/4の日程で開催されたアメリカ心理学会の年次大会にて発表してきました。


発表タイトル、概要は以下の通りです。
(こちらから発表ポスターpdf(1259KB)をダウンロードできます

The Legal Professional Opinion and Lay Citizens’ Judgment during Deliberation
MURAYAMA, Aya & MIURA, Asako
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This study investigated whether professional opinion during deliberations influenced changes in jurors’ opinions, confidence of the opinion, and subjective performance of the deliberation.  The saiban-in (lay judge) system was launched in 2009 in Japan to give ordinary citizens a direct role in the criminal judicial process.  There, lay judges are selected separately for each trial and judge the case together with professional judges.  Since the system gives professional judges a power for the verdict in both explicit and implicit manner during deliberations, there is a doubt whether lay judges can practically participate in and actively discuss based on their own perspectives.
In order to investigate the effect of such expert power during deliberations, a simplified mock jury was conducted in a lab setting.  Three jurors (naïve participants) and one judge (a confederate who claimed guilty throughout the experiment) discussed guilt or innocence using a scenario that was based on an actual case. A total of 90 undergraduate and graduate students (30 groups) participated in the study. Opinion distributions (guilty as majority, tie votes, or innocent as majority) and forms of deliberation (either verdict-driven or evidence-driven) were manipulated.
The results showed that jurors tended to change their opinion in accordance with the judge. Moreover, jurors whose opinions coincided with the judge’s were more confident with their final decisions than jurors whose final decisions were different from the judge’s. The hierarchical linear model with a dependent variable of subjective performance had indicated that the agreement with the judge (both in group and individual level) and higher level of trust toward the judge both increased the level of subjective performance.  Practical participation in deliberation had led higher subjective performance as well.  Finally, the suggestions about the lay judge system and deliberation process were made based on the results of the study.
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裁 判員裁判関連の発表でしたが、話をした人たち(おそらくアメリカ人)にとっては、専門家(裁判官)とトレーニングなしにいきなり評議をする、という状況が 信じられない、という感じでした。また、性別や年齢の構成はコントロールされているのか、という質問もされました(現状はまったくなにも決まりはないです ね)。

「まだまだ研究することが沢山あるね」

と言われました。確かに、研究しなければならないことはたくさんあるよう思 います。ただ、そこからまず何に着手するべきか、実際に裁判員制度にかかわっている現場の方にとってどのような研究が必要とされているのか、という点を しっかり考えなければならないと最近改めて感じています。できることから、進めていきます。

「法と心理」への論文採録決定

以下の論文が法と心理学会の論文誌「法と心理」に掲載されることが決定しました。

村山綾・三浦麻子 (in press). 有罪・無罪判断と批判的思考態度との関連-テキストデータを用いた分析から.
法と心理.

要 約: 本研究の目的は、刑事裁判における有罪・無罪判断と批判的思考態度の関連性について、テキストデータ分析から明らかにすることである。144名の大学生・ 大学院生が、(1)覚せい剤密輸事件を題材とした、無罪判断が妥当な公判シナリオを読み、(2)有罪・無罪判断、(3)判断の理由(自由記述方式)、 (4)批判的思考態度尺度について回答した。判断の理由を対象に頻出語を抽出し、有罪・無罪判断×批判的思考態度高群・低群を属性としたコレスポンデンス 分析を行った。その結果、無罪判断で批判的思考態度得点が高い場合は、物的証拠の欠如といったメタな理由づけをしている一方、有罪判断で批判的思考態度得 点が低い場合は法廷での証言や発言などについて言及すると同時に、「おかしい」や「不自然」「信用」といった主観的評価が判断理由に含まれることが示され た。
キーワード 批判的思考態度 テキストデータ 有罪・無罪判断

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テキストデータ分析では、大阪大学大学院経済学研究科の松村真宏先生と、本論文の第2著者である三浦麻子教授が共同開発したテキストマイニングの前処理ソフトウェアTinyTextMiner(TTM)を使用しました。

2013年度はじまり

2013年度がはじまりました。
今年度は引き続き関西学院大学大学院文学研究科・応用心理科学研究センターで博士研究員として研究活動に従事します。

4月の関学キャンパスは特に美しいことこの上なく、3年目になりますがまったく飽きません。
今年は時計台に向かって右手に、枝垂桜がやってきました。
芝と桜と空のコントラストが見事です。

今年もよろしくお願いします。

※今年度は関西学院大学文学部にて新たに心理科学実習Aを担当することになりました。

「実験社会心理学研究」への論文採録決定

以下の論文が日本グループ・ダイナミックス学会の論文誌「実験社会心理学研究」に掲載されることが決定しました。

村山綾・三浦麻子 (in press). 集団討議における葛藤と主観的パフォーマンス-マルチレベル分析による検討-.
実験社会心理学研究.
要 約: 本研究では、集団討議で生じる葛藤と対処行動、およびメンバーの主観的パフォーマンスの関連について検討した。4名からなる合計17集団(68名)にラン ダムに配置された大学生が、18分間の集団課題を遂行した。その際、討議開始前、中間、終了時に、メンバーの意見のずれから算出される実質的葛藤を測定し た。また討議終了時には、中間から終了にかけて認知された2種類の葛藤の程度、および葛藤対処行動について回答を求めた。分析の結果、集団内の実質的葛藤 は相互作用を通して変遷すること、また、中間時点の実質的葛藤は主観的パフォーマンスと関連が見られないものの、終了時点の葛藤の高さは主観的パフォーマ ンスを低下させることが示された。関係葛藤の高さと回避的対処行動は主観的パフォーマンスの低さと関連し、統合的対処行動は主観的パフォーマンスの高さと 関連していた。関係葛藤と課題葛藤の交互作用効果も示され、課題葛藤の程度が低い場合は、関係葛藤が低い方が高い方よりも主観的パフォーマンスが高くなる 一方で、課題葛藤の程度が高い場合にはそのような差はみられなかった。葛藤の測定時点の重要性、および多層的な検討の必要性について議論した。

HCS2013年1月研究会に参加しました

1月24,25日に高知市文化プラザかるぽーとで開催されたHCS2013年1月研究会に参加してきました。
当日は多くの方にご参加いただき、現地担当としてはホッとしました。

以下のタイトルで発表しました。

村山 綾・弓仲美穂・今津千紘・三浦麻子(関西学院大)
会話場面における話題の感情価と聞き手の表情の不一致 ~ 話者の非言語行動および感情状態に注目して ~

2者会話場面で、自分は楽しい話をしているのに相手の表情は悲しそうだor自分は悲しい話をしているはずなのに相手は笑顔だ、などといった
話題の感情価と聞き手の表情が一致しない状況に注目し、そのような場面における話者の視線行動や感情状態を検討したものです。非言語行動の個人要因としては社会的スキルを取り上げました。
質問もいただき、今後の実験計画を考える上でも大変有意義でした。発表内容に関心のある方はぜひご連絡ください。

高知では、カツオのたたきを堪能しました!

学会発表情報

学会シーズンが始まりました。
今年度は、以下の3つの学会で口頭発表をする予定です。

村山綾・三浦麻子
“専門家-非専門家による評議コミュニケーションに関する実験的検討-有罪・無罪判断に用いられる材料と参加者の満足度に注目して‐ ”
日本グループ・ダイナミックス学会第59回大会(京都大学) -2012年9月22日

村山綾・三浦麻子
“覚醒剤密輸事件に関する公判シナリオを用いた有罪・無罪判断のテキストデータ分析 -批判的思考態度との関連- ”
法と心理学会第13回大会(武蔵野美術大学) -2012年10月20日

村山綾・三浦麻子
“集団内の関係葛藤と課題葛藤の誤認知、対処行動、メンバーへの信頼に関する文化差の検討-日米比較から-”
日本社会心理学会第53回大会(つくば国際会議場) -2012年11月17日

よろしくお願いします。

「法と心理」への論文採録決定

以下の論文が「法と心理」12巻1号(サブ特集「裁判員制度の見直しに向けて-法と心理学の視点から」)に掲載されることが決定しました。

村山綾・今里詩・三浦麻子(in press)
評議における法専門家の意見が非専門家の判断に及ぼす影響
-判断の変化および確信度に注目して‐

【概要】本研究の目的は、専門家と非専門家による評議コミュニケーション場面で専門家の意見が評決に及ぼす影響について実験的に検討することである。実際の裁判員裁判に類似したシナリオを用いて、裁判員役の大学生3名と裁判官役の実験協力者1名の4名からなる評議体(合計93名、31評議体)が被告の有罪・無罪について話し合った。事前意見分布(有罪多数、対立、無罪多数)と評議スタイル(評決主導もしくは証拠主導)を操作した。分析の結果、裁判官役と反対意見に判断を変化させる参加者よりも、同一判断に意見を変容させる参加者が多かった。また評議後に裁判官と同一判断だった参加者は、評議前の判断の確信度よりも評議後の確信度の方が高くなっていた。本研究で得られた知見にもとづいて、裁判員制度および評議過程に関する提言をおこなった。

Aya Murayama, Uta Imazato, & Asako Miura (in press)
The effect of legal professional opinion on lay citizens’ judgment during deliberation: Focusing on changes and confidence of the judgment-.

This study investigated whether professional opinion during deliberations influenced changes in jurors’ opinions. Three jurors (naïve participants) and one judge (a confederate who claimed guilty throughout the experiment) discussed guilt or innocence using a scenario that was based on an actual case. A total of 93 university students (31 groups) participated in the study. Opinion distributions (guilty as majority, tie votes, or innocent as majority) and forms of deliberation (either verdict-driven or evidence-driven) were manipulated. The results showed that jurors tended to change their opinion in accordance with the judge. Moreover, jurors whose opinions coincided with the judge’s were more confident with their final decisions than jurors whose final decisions were different from the judge’s. Finally, the suggestions about the lay judge system and deliberation process were made based on the results of the study.

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本研究の実施に当たっては多くの方のご協力を得ました。ありがとうございました。

論文の詳しい内容についてのお問い合わせは、トップページ上部に記載されているメールアドレスまでご連絡ください。

ゲストスピーカとの鼎談

兵庫県弁護士事務所所属の新井大介弁護士をお招きし、5月25日文学部「総合B」において、学生が抱いている裁判・評議に関する質問に答えていただきました。事前に回収した質問項目に対して、時に冗談を交えながら楽しく、そして詳しく説明していただきました。

第1回目の授業にて、山形地方検察が公開している「裁判員制度クイズ」に回答してもらった結果、文学部総合B受講の学生109名の平均は66.4%でした。
(○×クイズ9問と、4択問題1問の合計10問で構成されていたことを考えると、あまり良い結果とは言えません)

裁判員制度や評議に関する知識がほとんどないところから授業を始めましたが、質問項目の中には鋭いものが多く含まれている、と新井弁護士からおほめの言葉をいただきました(笑)

学生の反応としては、

「弁護士さんを初めてみた」「弁護士さんも人間なんだなと思った(冷徹なイメージがあるようです…)」というものから、
「裁判期間の長さについては今後議論の余地がある」「裁判員の心的ケアを充実させていく必要があるのではないか」まで多岐にわたりましたが、おおむね好評でした。確かに、普段生活していて弁護士さんとやり取りするような機会はほとんどありませんものね。そういう意味でもよい経験だったのでは、と思います。

学生の質問一覧を公開します。興味のある方はぜひご覧ください。
黄色および黄緑色の背景のものは、授業中に回答して頂いた質問になっています。

新井弁護士に改めて感謝申し上げます。

「社会心理学研究」への論文採録決定

以下の論文が社会心理学研究28巻1号に掲載されることが決まりました。

村山綾・三浦麻子(in press)
集団内の関係葛藤と課題葛藤: 誤認知の問題と対処行動に関する検討
社会心理学研究28(1)

【要約】本研究では、集団内で認知される関係葛藤、課題葛藤に注目し、それらが双方に誤認知される可能性、及び葛藤状況による対処行動の選好の違いについて検討した。2種類の葛藤の程度を操作し、組み合わせた4種類のシナリオについて、大学生231名が(1)課題葛藤と関係葛藤を認知した程度、(2) 当該シナリオにおける対処行動の選好、を回答した。分析の結果、関係葛藤と課題葛藤の両方が、もう一方の葛藤として誤認知される可能性が示された。また関 係葛藤がより強く認知される状況では、課題葛藤がより強く認知される状況よりも対処行動の選好が回避的になることが示された。双方の葛藤がともに強く認知 される混在状況では、関係葛藤と同程度に回避的な対処行動が選好された。認知される葛藤の程度によって対処行動の選好が異なる点について、情報処理に関す る二重プロセス理論に基づいて議論した。

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集団内で認知される課題葛藤は、課題への認知的理解やメンバー同士の感情的受容といったポジティブな効果があるといわれてきました。一方関係葛藤は、集団メンバー間の不快感や敵対心といったネガティブな効果が報告されています。ただし、これらの葛藤は正の相関関係が示されることが多く、また誤認知の可能性も指摘されてきました。

本研究では、誤認知が双方向(課題葛藤→関係葛藤、関係葛藤→課題葛藤)で生じること、そして、課題葛藤と関係葛藤がいずれも強く認知される状況では、上述したような課題葛藤のポジティブな効果が関係葛藤の存在によって打ち消される可能性を対処行動の観点から明らかにしました。

論文の詳しい内容についてのお問い合わせは、トップページ上部に記載されているメールアドレスまでご連絡ください。

ヒューマンコミュニケーション基礎研究会

2012年1月20日(金)に、ウインク愛知で開催されたヒューマンコミュニケーション基礎研究会に参加しました。
以下の内容で研究発表をしてきました。

社会的スキルとアイコンタクト表出の関連について -非接触型アイマークレコーダによる検討-

Social skills and eye contact-An examination using an eye mark recorder-

村山綾(関西学院大学大学院文学研究科・応用心理科学研究センター)

朝井阿弓美(関西学院大学文学部)

福井隆雄(フランス国立衛生医学研究所)

三浦麻子(関西学院大学文学部)

社会的スキルの高い人は表出性の高さが注目されがちですが、状況に応じて表出の抑制もするのではないかという点について、

非接触型アイマークレコーダを用いて実際の視線量を計測することで検討しました。

研究内容に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。