「法と心理」への論文採録決定

以下の論文が「法と心理」12巻1号(サブ特集「裁判員制度の見直しに向けて-法と心理学の視点から」)に掲載されることが決定しました。

村山綾・今里詩・三浦麻子(in press)
評議における法専門家の意見が非専門家の判断に及ぼす影響
-判断の変化および確信度に注目して‐

【概要】本研究の目的は、専門家と非専門家による評議コミュニケーション場面で専門家の意見が評決に及ぼす影響について実験的に検討することである。実際の裁判員裁判に類似したシナリオを用いて、裁判員役の大学生3名と裁判官役の実験協力者1名の4名からなる評議体(合計93名、31評議体)が被告の有罪・無罪について話し合った。事前意見分布(有罪多数、対立、無罪多数)と評議スタイル(評決主導もしくは証拠主導)を操作した。分析の結果、裁判官役と反対意見に判断を変化させる参加者よりも、同一判断に意見を変容させる参加者が多かった。また評議後に裁判官と同一判断だった参加者は、評議前の判断の確信度よりも評議後の確信度の方が高くなっていた。本研究で得られた知見にもとづいて、裁判員制度および評議過程に関する提言をおこなった。

Aya Murayama, Uta Imazato, & Asako Miura (in press)
The effect of legal professional opinion on lay citizens’ judgment during deliberation: Focusing on changes and confidence of the judgment-.

This study investigated whether professional opinion during deliberations influenced changes in jurors’ opinions. Three jurors (naïve participants) and one judge (a confederate who claimed guilty throughout the experiment) discussed guilt or innocence using a scenario that was based on an actual case. A total of 93 university students (31 groups) participated in the study. Opinion distributions (guilty as majority, tie votes, or innocent as majority) and forms of deliberation (either verdict-driven or evidence-driven) were manipulated. The results showed that jurors tended to change their opinion in accordance with the judge. Moreover, jurors whose opinions coincided with the judge’s were more confident with their final decisions than jurors whose final decisions were different from the judge’s. Finally, the suggestions about the lay judge system and deliberation process were made based on the results of the study.

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本研究の実施に当たっては多くの方のご協力を得ました。ありがとうございました。

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「社会心理学研究」への論文採録決定

以下の論文が社会心理学研究28巻1号に掲載されることが決まりました。

村山綾・三浦麻子(in press)
集団内の関係葛藤と課題葛藤: 誤認知の問題と対処行動に関する検討
社会心理学研究28(1)

【要約】本研究では、集団内で認知される関係葛藤、課題葛藤に注目し、それらが双方に誤認知される可能性、及び葛藤状況による対処行動の選好の違いについて検討した。2種類の葛藤の程度を操作し、組み合わせた4種類のシナリオについて、大学生231名が(1)課題葛藤と関係葛藤を認知した程度、(2) 当該シナリオにおける対処行動の選好、を回答した。分析の結果、関係葛藤と課題葛藤の両方が、もう一方の葛藤として誤認知される可能性が示された。また関 係葛藤がより強く認知される状況では、課題葛藤がより強く認知される状況よりも対処行動の選好が回避的になることが示された。双方の葛藤がともに強く認知 される混在状況では、関係葛藤と同程度に回避的な対処行動が選好された。認知される葛藤の程度によって対処行動の選好が異なる点について、情報処理に関す る二重プロセス理論に基づいて議論した。

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集団内で認知される課題葛藤は、課題への認知的理解やメンバー同士の感情的受容といったポジティブな効果があるといわれてきました。一方関係葛藤は、集団メンバー間の不快感や敵対心といったネガティブな効果が報告されています。ただし、これらの葛藤は正の相関関係が示されることが多く、また誤認知の可能性も指摘されてきました。

本研究では、誤認知が双方向(課題葛藤→関係葛藤、関係葛藤→課題葛藤)で生じること、そして、課題葛藤と関係葛藤がいずれも強く認知される状況では、上述したような課題葛藤のポジティブな効果が関係葛藤の存在によって打ち消される可能性を対処行動の観点から明らかにしました。

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