優秀論文賞を受賞しました

2014年9月6,7日に行われた日本グループ・ダイナミックス学会第61回大会にて、以下の論文が2013年度優秀論文賞を受賞しました。

村山 綾・三浦麻子 (2014). 集団討議における葛藤と主観的パフォーマンス-マルチレベル分析による検討-. 実験社会心理学研究, 53, 81-92.

【概要】--------

本研究では,集団討議で生じる葛藤と対処行動,およびメンバーの主観的パフォーマンスの関連について検討した。4名からなる合計17集団(68名)にランダ ムに配置された大学生が,18分間の集団課題を遂行した。その際,討議開始前,中間,終了時に,メンバーの意見のずれから算出される実質的葛藤を測定し た。また討議終了時には,中間から終了にかけて認知された2種類の葛藤の程度,および葛藤対処行動について回答を求めた。分析の結果,集団内の実質的葛藤 は相互作用を通して変遷すること,また,中間時点の実質的葛藤は主観的パフォーマンスと関連が見られないものの,終了時点の葛藤の高さは主観的パフォーマ ンスを低下させることが示された。関係葛藤の高さと回避的対処行動は主観的パフォーマンスの低さと関連し,統合的対処行動は主観的パフォーマンスの高さと 関連していた。関係葛藤と課題葛藤の交互作用効果も示され,課題葛藤の程度が低い場合は,関係葛藤が低い方が高い方よりも主観的パフォーマンスが高くなる 一方で,課題葛藤の程度が高い場合にはそのような差はみられなかった。葛藤の測定時点の重要性,および多層的な検討の必要性について議論した。
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本 論文は、大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室の大坊郁夫教授(現東京未来大学)のご指導のもと提出した博士論文の一部を加筆・修正したもの です。分析に際しては、広島大学の清水裕士先生からアドバイスをいただきました。また、現受入れ教員で、共著者でもある三浦麻子先生と多くの議論を重ね、 論文の形にまとめることができました。投稿後は、査読者の先生方から有益なコメントをいただき、それを受けて行った追加分析や結果の再解釈があったからこ そ、このような賞をいただけたと思います。本論文に関わってくださったすべての先生方に対して、あらためて感謝申し上げます。