「社会心理学研究」への論文採録決定

以下の論文が社会心理学研究28巻1号に掲載されることが決まりました。

村山綾・三浦麻子(in press)
集団内の関係葛藤と課題葛藤: 誤認知の問題と対処行動に関する検討
社会心理学研究28(1)

【要約】本研究では、集団内で認知される関係葛藤、課題葛藤に注目し、それらが双方に誤認知される可能性、及び葛藤状況による対処行動の選好の違いについて検討した。2種類の葛藤の程度を操作し、組み合わせた4種類のシナリオについて、大学生231名が(1)課題葛藤と関係葛藤を認知した程度、(2) 当該シナリオにおける対処行動の選好、を回答した。分析の結果、関係葛藤と課題葛藤の両方が、もう一方の葛藤として誤認知される可能性が示された。また関 係葛藤がより強く認知される状況では、課題葛藤がより強く認知される状況よりも対処行動の選好が回避的になることが示された。双方の葛藤がともに強く認知 される混在状況では、関係葛藤と同程度に回避的な対処行動が選好された。認知される葛藤の程度によって対処行動の選好が異なる点について、情報処理に関す る二重プロセス理論に基づいて議論した。

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集団内で認知される課題葛藤は、課題への認知的理解やメンバー同士の感情的受容といったポジティブな効果があるといわれてきました。一方関係葛藤は、集団メンバー間の不快感や敵対心といったネガティブな効果が報告されています。ただし、これらの葛藤は正の相関関係が示されることが多く、また誤認知の可能性も指摘されてきました。

本研究では、誤認知が双方向(課題葛藤→関係葛藤、関係葛藤→課題葛藤)で生じること、そして、課題葛藤と関係葛藤がいずれも強く認知される状況では、上述したような課題葛藤のポジティブな効果が関係葛藤の存在によって打ち消される可能性を対処行動の観点から明らかにしました。

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